MUFGバンク(中国)
企業戦略部 経済調査室
金鵬遠
【マクロ経済】
1-2月のマクロ経済は回復基調、若年層の都市部登録失業率は上昇
2024年1-2月の経済データ(累計ベース)は、2023年通年に比べて、生産、投資、貿易額(ドルベース)は何れも回復した。特に、前年同期はポストコロナの低成長率であった事に加え、外需も回復した事により、輸出入が大幅に回復した。しかし、内需不足と春節の影響を受けて、2024年1-2月の消費は2023年1-12月より下落した(図表1)。
なお、16-24歳の労働力人口から在学生を取り除いた若年層の都市部登録失業率は、2024年2月の時点で15.3%に達し、前月の14.6%より0.7ポイント拡大した。今年に入ってからは、現状、失業防止に関する中央政府の施策はまた打ち出されていない。
全人代で超長期特別国債の発行計画を公表
3月5日に開催した全国人民代表大会では、超長期特別国債を数年にわたって発行することが示され、2024年内には国家重要戦略プロジェクト、安全保障整備を目的として1兆元規模の国債を発行すると発表した。
債券市場では、一般的に発行期限が10年以上の利付債券を超長期債券とし、主な期間は、15年、20年、30年、50年である。このような発行は、一般的に経済情勢が不芳または財政逼迫が明確になった場合に限定されるものであり、これまで、中国では超長期特別国債を発行した前例として、1998年、2007年、2020年の3回のみであった(図表2)。
国務院は大規模な設備更新と消費財の買い替え行動計画を発表
国務院弁公庁は3月13日、「大規模な設備更新と消費財の買い替えを推進するための行動計画」を発表し、以下の4つの主要方針を打ち出した。
設備更新を実施する 重点業界の設備更新改造を推進し、建設業と都市部インフラ設備の更新を加速し、交通輸送、農業、教育文化、観光、医療分野の設備更新を支援する。
消費財の買い替えを促進する 自動車、家電製品を中心に消費財の買い替えを促進する。
リサイクルを実施する 古材・廃材の回収ネットワークを整備し、中古商品の取引を支援し、資源のリサイクルを推進する。
各種基準を改善する エネルギー消耗、汚染物排出に関する判定基準の改善を加速し、製品技術基準と資源循環利用基準を向上し、重点領域の国内・国際基準を統一する。
また、2027年まで、①工業、農業、建設、交通、教育、文化観光、医療などの分野の設備投資規模は2023年より25%以上増加、②一定規模以上の工業企業におけるデジタル研究開発設計ツールの普及率は90%に達し、重要プロジェクトのデジタル化率は75%以上、③廃棄自動車の回収量は2023年より倍増、中古車の取引量は2023年より45%増加、廃棄家電のリサイクル量は2023年より30%増加、などの数値目標も提出した。
【産業・企業】
グリーン電力の取引方式が変更、「国有売電企業の代理買電」から「電力市場参入者の共同買電」へ
近年、グリーン電力(再生可能エネルギー)の発電量が急増している中、これまでのシステムでは、国有売電企業がグリーン電力の買電(電力購入)資金が回らなくなり、グリーン電力の買電体制を変革する必要性が生じている。国家発展改革委員会は3月18日、「グリーン電力に対する全額保障性買電の監督管理弁法」(以下、「弁法」)を発表し、元国家電力規制委員会が2007年に発行した「国有売電企業がグリーン電力に対する全額保障性買電の監督管理弁法」を同日廃止した。
「弁法」によると、4月1日から、風力発電、太陽光発電、バイオマス発電、海洋エネルギー発電、地熱エネルギー発電を含んだグリーン電力(中国では水力発電をグリーン電力に含まない)の買電方式を国有売電企業経由にし、全額買電から、国有売電企業、民営売電企業、電力ユーザー、発電企業などの電力市場参入者による共同買電に変更する(国有売電企業の代理売電は減少する)。
「弁法」は、グリーン電力を保障性買電と市場取引買電の2つに分けた。保障性買電は国の再生可能エネルギーに対する消費保障メカニズムと消費割合目標などの規定に基づき、国有売電企業が買電の義務を負う。市場取引買電は市場化方式による電力価格を決め、前述の電力市場参入者が共同で買電することになる。
これは、グリーン電力の市場化水準を向上し、従来の政府による価格決定から、政府が部分的に価格を決定し、残りの部分は市場化取引により価格が決定される様に変わることを意味する。よって、今後のグリーン電力の価格は需給関係の影響にもよるが、市場価格は統一代理買電より安価のため、小幅に下落することが見込まれる。
国務院は対外開放の拡大を強調、外資の安定化を促進
国務院弁公庁は3月19日、「ハイレベルの対外開放の推進による外資誘致と利用を強化するに関する行動計画」を発表し、以下の5つの具体的措置を提出した。
市場参入制限を緩和し、外資の自由化を向上する 外資に対する参入ネガティブリストを合理的な範囲内に縮小し、銀行・保険・科学技術領域における外資の参入制限を緩和、外資金融機関が国内債券市場での業務範囲拡大を促進する。
支援政策を強化し、外資の誘致を推進する 外商投資を奨励する産業やプロジェクトのリストを拡大し、税収・金融・エネルギー使用に対する支援を強化、外資系産業が中西部・東北地区へ移転する事を支援する。
公平な競争の実現に注力し、外商投資サービスを行う 公平な競争を阻害する行為・政策の取締・撤廃を推進し、外資参入の公平性に関する基準の制定・改善を行い、「中国への投資」というブランド品質を向上し、外商投資企業へのサービスを強化する。
データの国際転送をスムーズにし、内外企業の協力を促進する 外資企業の本社間とのデータ転送を支援し、国際ビジネスの利便性を向上するため、在中国外国人を対象に就労や在留許可管理を最適化する。
国内規制を最適化し、国際経済貿易規則との連携を強化する 知的財産権保護を強化し、データのクロスボーダー転送規則を健全化し、国際的な高水標準の経済貿易規則との連携に注力する。
国務院は消費者情報の収集と使用を制限する条例を公表
国務院は3月19日、「中華人民共和国消費者権益保護法実施条例」(以下、「条例」)を公表した。「条例」では、経営者は商品やサービスを提供する全プロセスで、法律・法規を厳格に遵守すべき、消費者の個人情報の適切な保護を定め、具体的な内容は以下の通り。
経営者が消費者の個人情報を過度に収集することを明確に禁止し、経営者が個人情報を収集する際に、一括して同意を得ることや、黙認の同意を得ることなどの方式を認めない。
経営者が生体認証、宗教信仰、身元特定、医療・健康、金融口座、移動経路などのセンシティブな個人情報を処理する場合、関連する法律・法規に従わなければならない。
未成年者の権益を保護するため、経営者は14歳未満の未成年者の個人情報を処理する際に、関連する法律・法規を厳格に遵守しなければならない。
「条例」の公表を通じて、消費者権益保護の法的枠組みをさらに強化した。これにより、市場秩序の規範化、消費者と経営者の間の公平取引の実現、消費者により安心安全な消費環境の提供などが期待できる。
国務院常務会議は不動産市場発展における新モデルの構築を強調
3月22日に開催した国務院常務会議では、『不動産政策の最適化による不動産市場の安定かつ健全な発展を促進することに関する報告』の聴取が行われた。会議で発表したプレスリリースによると、今後の施策の方向性は不動産政策の最適化と、住宅供給体系の改善を加速し、商品住宅関連の基礎的な制度を改革し、不動産市場発展の新モデルの構築にあることが分かった。
不動産市場発展の新モデルの主旨については、「人・住宅・土地・金の連動メカニズム」であり、即ち、①人口数量と人口流動による住宅需要規模の決定、②住宅供給規模の適切な水準維持、③地価の安定及び土地の安定供給、④不動産関連のキャッシュフローや金融面での監督管理の一層の強化である。
中国全土規模において住宅供給が過剰な中、中央政府は住宅需給を調整することで不動産価格の安定化を目指し、不動産における金融分野の監督管理の強化によって、未完成建築の発生をある程度防止できると考えている。
【金融】
PBOCは、2月の金融統計データを発表、需要回復と地方財政リスクの顕在化に注目
中国人民銀行は3月15日、銀行や市場からの資金調達総額を示す社会融資規模(以下、社融)と金融統計データを発表した。
2月の定期預金規模を表すM1とM2の前年同月比の差は2024年1月に比べて下落幅が拡大し、個人と企業は先行きへの不安から投資より貯金する傾向にあると見てとれる。社融とM2の前年同期比の差は2024年にプラスの方向に転じ、実体経済の資金調達の需要回復を表している。
地方政府の地方債発行額は、直近3ヵ月間で高い水準を維持しており、財政により実体経済を支える一方、地方債の償還リスクは更に拡大していると考えられる(図表3)。
国内銀行の総資産は金融業全体の9割近くを占めている
中国人民銀行は3月20日、2023年の金融業の財務データを発表した。2023年末までの国内金融業全体の総資産は461兆900億元で、そのうち銀行の総資産は417兆2,900億元があり、金融業全体の90%近くを占める状況にある(図表4)。
全体的に見ると、かつて巨大な潜在力を有すると見なされた証券会社は2023年でも成長が停滞しており、銀行は総資産と総負債のいずれも高成長を維持、国内の金融システムは依然として銀行主導の間接金融を中心としていることが分かる。
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